ウダイプル(Udaipur)はラージャスターン(Rajasthan)州にある都市で、日本人には余り聞き馴染みが無いと思う。日本人がインドを旅行する際には候補に挙がることは無い。私が何故この都市を知るに至ったかと言うと、インドに来た際にわざわざシンガポールから来てくれた友人のアクシェイ、彼の出身地なのだ。2023年10月初旬、彼がシンガポールから訳あってインドに一時帰国する際に、お前もウダイプルに来てみろ、と言われたのがきっかけ。実はこのブログ執筆(2024年1月末)には既に2度目の訪問を終えており、どこまで新鮮な気持ちで1度目の訪問を綴れるか不安ではあるが、当時の思い出を振り返りたい。私はこれ迄旅したインドの都市の中で、ウダイプルをベスト3に上げる。それくらい良かったし、今後も度々訪れることになると思う。
1日目
到着
Indigo便でデリーから直通1時間程度、ウダイプルの空港に到着。空港の出口にはアクシェイが車を止めて待っていてくれた。デリーの空港と違って、客引きはほぼ無し。小さな声で「タクシー?」と聞いてきた人が一人いたが、それだけ。車を走らせてアクシェイの家に向かう。空港からの道はこれ迄過ごしてきたインドの風景とはまた違って、山々に囲まれており、道中にポツンポツンとヒンドゥー教寺院が見られた。アクシェイ曰く、ウダイプルは天然資源に恵まれた土地でもあり、同地にあるHindustan Zincという会社はインドでも有数のスズ製造会社らしい。確かに空港にも同社の看板は何個かあったし、空港からの道中には左手に大きな鉱山や製造工場が見えた。
(アクシェイの家訪問)
アクシェイの家は2階建ての立派な家で、家の前に牛が何頭もいた。招かれて家に入ると、奥さん(これ迄シンガポールで一度、ニューデリーで一度会った経験有り)もいらした。奥の部屋にはアクシェイの父もいたようだが、お話しすることは無かった。奥さん特製のご飯(カレー、チャパティ)を食べ、車で外に向かった。先ず向かったのは近くにあるカチョリ屋さん(BIKANER MISTHAN BHANDAR)。そこで初めてカチョリなるものを食べたのだが、これがとても美味しかった。揚げたカレーパンのような物に、甘辛い日本のソースのようなものを掛けて食すもので、一応ラージャスタンの食事らしい。うまいです。
また、町をぶらぶらとしていたところ、人々が普通に井戸から水を汲んで家に持ち帰っている光景をみてびっくりした。仮にも空港がある都市で、まだ水道がしっかりと発達していないのかと感じた。アクシェイの家の近くにも湖(Fathe Sagar Lake)があり、そこを車で一周した。湖の真ん中に浮いているのはObservation(天文台)だと言っていた。
アクシェイに、ホテルはどこに泊まるんだと言われて教えると、俺の友人の所に変えろと言ってくる。インド人の友人を持つとしばしばこのようなシチュエーションになる。そんな時私は、たいていの場合は取敢えず友人の提案に乗ってみる。何故なら面白そうだから。予定調和が崩れる感じがたまらなく好きなのだ。アクシェイにLake Shore Restaurant & Hotelというところを紹介&予約してもらった。1泊3000ルピーなので、かなりお値段もお手頃。アクシェイは本日中にウダイプルからニューヨークに飛ぶので、ここでお別れ。ホテルまでのUberを手配してくれて、ここで別れた。
Lake Shore Restaurant & Hotel
アクシェイの小学校時代の友人が経営している、Pichola Lake(ピチョラ湖)に面するホテル兼レストラン。到着して直ぐに感じたのは、最高のロケーションだということ。1Fが宿泊施設、2Fがレストランになっており、レストランには観光客と言うよりかは地元の家族連れが多い印象。夕ご飯を食べていると、オーナー(アクシェイの友人)から、仲のいい家族を紹介された。日本人と会える機会はなかなかないからだろうか、好奇心の強い子供たちと色んなお話をした。その中の一つで、とある子供の進路相談にものらされた。今高校で、次どうすればいいか迷っている、エンジニアになるのか。。。など。(インドではエンジニアの地位がものすごく高い。)私からは、「よく分からないけど、若し可能なら海外留学して見識を広げ、世界中に友人を作ると良いと思うよ。」などと回答。
今日はもう夕方になっていたので、一日ホテルでゆっくりして、明日の朝イチから観光しようと決めた。ただ、オーナーがホテルのすぐ近くにあるガートを案内してくれた。このガートは有名なCity PalaceのPichola Lakeを挟んで反対側にあり、湖に移るPichola Lakeを眺めてゆっくりすることができる。ガートの壁にはシヴァ神などのヒンドゥー教の神様がカラフルに描かれており、とても美しい。
ホテルでゆっくりしていると、オーナーから「車でちょっと時間はかかるけど、Ekling Ji Templeというとても大きなお寺があるから行って見ないか?」と提案が有った。ホテルでゆっくりする気マンマンだった私は少しためらったが、せっかくなので是非行って見ようと思った。レストランの店員が車を出してくれた。渋滞等も有り、40分~60分くらいでお寺に就いた。(ウダイプルの旧市街はとても道が狭く、よく車がスタックしてしまう。)
Eklingji Temple
これまで訪れたヒンドゥー教寺院の中で、最もパワーを感じた。中は撮影禁止のため、写真を添付することはできないが、中には10個以上のヒンドゥー教寺院が連なっており、夕方のお参りに人が集まっている。中を入ると参道になっており、そこで花やココナッツを買うことができる。奥にあるお寺から、太鼓の音と、ヒンドゥー教っぽい音楽が聞こえてくる。既に日も落ちており、夕日の陰に照らされた寺院はより一層幻想的に見える。この体験から、ヒンドゥー教に対する興味がかなり強くなったと共に、旅行先では必ずその地域の寺院を訪ねることにしている。出口の所では、おでこにオレンジ色のビンディ(よくインド人がおでこに着けいている赤いやつ)を付けることができる。
裏に湖があってそこにも連れて行ってもらったのだが、暗くてよく見えなかった。その日はホテルに帰り、夕食を食べ、家族と話し(ここで進路相談の話)、就寝。
(2日目)
朝、アイスコーヒーを頼むとホットチャイが出てきた。ホテルから、橋を渡ってPichola Lakeの反対側に目玉のCity Palaceが有り、その道中にJagdish Templeという、ウダイプルで一番大きなヒンドゥー教寺院がある。
Jagdish Temple
確かに凄いが、昨日のEklingji Templeと比較すると、、、という印象。工事中なのか、老朽化の為なのか、寺院の大半が足組で覆われていた。
City Palace
語るより、写真を。
これらの写真以外にも、見どころ満載。何処を切り取っても美しい。
気になるのは、何故この地の王はこれほどまでに裕福だったのか。そして、このインド的でないセンスはどこから来ているのだろうか。という2点。調べようと思ったときにすぐ調べてないので、未だに良く分かりません。
City Palace訪問後は、Lake Shore Restaurantの隣のレストランで、ペンネを食べながらゆっくり。バジルソースにたっぷりのオリーブの実。ドリンクはインドでよく見るFresh Lime Soda。2時間以上ゆっくりしていたかもしれない。それほどまでに、ウダイプルの湖は美しく、時間の流れをわすれて見入ってしまうほど。インドのような喧騒の国では、落ち着きと心の平和がなによりも大事だと思っている私には、このウダイプルは心に安らぎを与えてくれる、そんな場所でした。
時間になり、空港までのUberを呼ぼうとすると、これがまあ大変だった。そもそも旧市街まではUberはこれないので、Hathi Poleという町のメインの通りまで出て、そこでUberを待つのだが、来るやつ来るやつまあ根性が汚い。Uberの表示金額が例えば500ルピーだったとしたら、それをキャンセルして1000ルピーなら連れてってやる、だのなんだの。そもそもデリーに比べてUberがつかまりにくい場所でもあったのに、捕まるやつが全部そんな奴ばっかりで、結局ちゃんとしたUberを捕まえるまでに1時間近くかかった。その人は本当にいい人で、空港までの道中おしゃべりをしながら帰った。
帰りのフライトはスパイスジェット(Spicejet)社にしたのだが、これが最悪だった。電光掲示板に表示されていたフライトが、搭乗1時間前に突如消えたのだ。空港にはなんのアナウンスも無く、スパイスジェット社から何の連絡もない。そして搭乗時間を過ぎても何の音さたもない。やられた、通告なしでキャンセルされた。近くでホテル探すか。とか思って、色々探していた所、搭乗時間を1時間半過ぎたあたりで、急に電光掲示板に私のフライトが復活。搭乗まであと3時間とかなっている。まあこにフライトには振り回された。これ以来、可能な限りスパイスジェットのフライトは避けるようにしている。
スパイスジェットの凄いところは、離着陸の前のシートベルト装着とか、机を基に位置に戻すとか、そういう確認が一切ない。着陸に際しても事前のアナウンスなどは無く、急に墜落したのかと思うような衝撃と共に着陸する。絶対いつか事故を起こすと思うし、何らかの航空法的なのに違反しているんじゃないかな、といつも思う。
備忘録
- ウダイプルは、ヨーロッパ的な洗練された静かさと、インド的な喧騒が入り混じった街。これ迄訪れた街の中でもトップクラスに好きな街。
- そもそも友人であるアクシェイがいなかったら、この旅行自体が無かった。友人を持つことの大切さと、偶然に飛び込んでいく勇気が新しい発見を生んでいく。