カジューのインド徒然草

インド(ニューデリー在住)。旅行記を中心にインド生活を綴る。ヒンディー語も勉強中。20代中盤のインド大好き若手駐在員の徒然なる日常を書き記します。

第2回インド旅行記 バラナシ(Varanasi)

インドに来たなら誰しもが一度は行って見たい場所、それがガンジス川。実は前回の2022年9月の訪問の際は、上司に本気度を見せつけるだけみたいな意図も有り、具体的にどこを回ろうというプランも無かった。時間も限られていたので、デリー周辺とアグラだけを回り、ガンジス川には行っていなかった。今週末もどこか旅行に行こうと思っていたので、じゃあバラナシ行くしかないでしょと思い、訪問することにした。2023年9月末のことです。

バラナシ(Varanasi)は、前回行ったラクナウと同じMP州にある。MP州は、毎回こんなに広いの?と思うほど東西に長くてびっくりする。バックパッカーのバラナシ行きの定番はくそ長い夜行列車だけれども、社会人の力を使って飛行機で行くことに。

 

到着&早速のトラブル

行程としては、夕方にデリー出発⇒当日夜にバラナシ到着⇒次の日の朝からガンジス川サールナートで仏教遺跡⇒その日の夜デリーに戻る、という1泊2日の旅。今考えるともうちょっとゆっくりしてもいいかと思うけれど、それはまた次の機会に。

という訳で夜の9:30頃にバラナシに到着し、あらかじめAgodaで予約しておいた空港近くのホテルに向かう。Uberでオートリキシャ(オート)を呼んだが、「キャンセルして××ルピー払え。」とかなんとか言ってくるやつばかり。何度もキャンセルして、交渉して、やっと来たオートに乗りこむ。20分くらいで予約していたホテルに就いたが、周りには何もなく怪しい感じの雰囲気。心の中では「失敗したな、まあ1泊しかしないからいいか。」と思っていた。ホテルの玄関に行くとそもそも鍵が開いてない。何度か大声を出して人を呼ぶと、中からいぶかしげな顔をした人がやってきた。どうやらホテルの従業員か若しくはオーナーらしい。予約をしている、ということを伝えて一応中にいれてもらったが、彼が言うには「今日は電気が止まっているので、観光客は泊められないんだ」とのこと。それまじか?また外国人を騙して変な店とかグルのホテルに連れてくつもりなんじゃねえのか?と思った。が、彼は本当に申し訳なさそうな表情で、「このあたりで同じ値段くらいのいいホテルを探すよ。」と言ってくれた。

そこのロビーに座っていたおじさん(お前は誰なんだ?)と、かわいそうだな。どこからきたの?なにしてるの?といったたわいもない話をして時間をつぶしていた。そこで本当に拙いヒンディー語(今考えたらまあ酷かったと思う)で会話すると、彼の顔は晴れやかに明るくなった。ヒンディー語を勉強しようと決めてよかったし、もっとちゃんとヒンディー語でコミュニケーションが取れるように勉強しようと思った瞬間でもあった。

結局、ホテルの人が電話で新しい宿の予約を取ってくれた。「バイクで送ってってやるよ。乗ってきな。」と言われ、おっちゃんの背中につかまりながら夜10時過ぎのバラナシを20分ばかし走り、新しいホテルに泊まった。中々に綺麗なホテルで、朝までぐっすり眠れた。

 

いざガンジス川へ出発

目標は、旭を見ながらガンジス河でボートに乗る事。朝5時に起きて、5時半にはホテルを出る予定だった。その旨も前日夜に従業員に伝えていたのだが、朝チェックアウトの時に従業員がいない。追加の支払いも無いので鍵を置いて出ていこうとすると、警備員に止められる。色々説明したが、押し問答となり前に進まない。結局私がホテルの人に電話をかけて、その場に来てもらうことで解決したが、朝からしんどい思いだ。

泊っているホテルからバラナシの街までは意外とあり、30分くらいで着いた。町に降り立った時の印象は、「え、めっちゃきれいやん。」「てかなんか壁がピンクで統一されてて可愛いな。」といった感じ。もっともっとごちゃごちゃしていると思ったし、期待していたのだが。。。




 

デリーにはいない白人観光客がいて、観光地だな、と思ったのも覚えている。街中では外国人が良く訪れることも有るからか、視線を向けられることはそれ程無かった。日本語のキャッチも無視すればしつこくなく、Youtubeでよく見るような大変な経験は無かった。街中のお土産屋には目を見張るものは無く、取り敢えずガンジス川に向かうことにした。

 

悠久のガンジス川

さてお目当てのガンジス川には朝7時前くらいに着いた。そのころには既に太陽は上がっており、日の出の瞬間を見ることは出来なかった。狭い迷路のような道を抜け、ガートにある階段を下り、目の前に広がるガンジス川を見た。



 

すげえな。

感想はそれだけ。やっぱりすごかった。そりゃ信仰の対象になるわとも思ったし、ここで一日川を見て座っているだけで心が洗われるような感覚になるだろうな、と感じた。やはりこの大国インドに何千年も前から横たわり、歴史の全てを見てきているガンジス川は偉大であった。事前知識通り、人々は沐浴をしていた。正直、自分も沐浴する気でいた。結構行動力は有る方だと思っているし、汚い系もまあまあ大丈夫。これ迄もノリでなんとかなってきたタイプだ。でも、ガンジス川を目の当たりにしたとき、やめとこう。と思った。ちっちゃいころ、よく家の周りの田んぼのあぜ道とかを走って、そのまま併設されているドブに落ちたことは何度も有る。臭かったし、洗っても中々汚いのは取れないし。そんな記憶の何倍ものやばさが待ち受けているような気がした。信仰の対象で、聖なる河とは知っていながら、勇気が出なかった。Youtuberとかが冷やかしでもガンジス川に浸かっているのを見ると、すげえなと思う。私は冷やかしでもできませんでした。

また、なんとその日は水位が高くほとんどのボートが運航中止。といいつつ出ているボートも有るらしいが、安全第一ということで、ボートはまた次の機会に。ガンジス川を眺めて感傷にふけっていると、日本語のマッサージのキャッチが来た。「お金は無いよ」と真っ先に伝えると、「お金はいらない。ただマッサージを受けて欲しいだけなんだ。」と。「勝手にやればいいけど、本当にお金はないからね。」と言うと、「オーケー。」と言いながら腕のマッサージ開始。血液の流れがどうのこうの、と拙い英語と日本語の単語を織り交ぜて話してくる。マッサージは肩に移り、そして首に移った。そのタイミングで、このマッサージ師は「頭のマッサージからは、あなたがあげたいと思った額のお金をくれればいい。金額は決まっていない。あなたの気持ちだ。」と抜かしてきたので、「1ルピーも無いって初めから言ってるよ?」というと急に無愛想になり、「分かった、じゃあ行け。」と。いや、最初から言ってるやん。

 

ガンジス川の周りで見たもの

ガンジス川付近には様々なガート、沐浴場があり、その一つ一つは回れなかったのだが有名どころは色々回ってみた。とあるガートに行く途中、大きめの毛布がくるめられたものが捨てられており、中に何が有るかは分からないがゴミがはいってるのかな?と特に気にもせずに通り過ぎた。夫々のガートから見えるガンジス川はまた違った表情で、どれも美しかった。とあるガートからガンジス川を眺めていると、その奥から、数人のインド人がこっちへ来いと手招きしている。目の前は泥で陸続きになっており、そっちへ向かおうとすると足がズボっとハマり、まあ臭い臭いヘドロに嵌ってしまった。最悪だ、と思い近くで足を洗える場所を探すと、そのガートにはAshish Caféというおしゃれなカフェがあった。

 



中に入り、取り敢えずアールーパランタとチャイを注文。トイレを貸してもらい、靴と足を一所懸命洗った。注文を待っていると、白人母娘が一組やってきて、疲れた表情で座っていた。朝食代わりのパランタを食べ終え、一息つき、まだびちゃびちゃの靴と靴下で散策を再開することにした。バラナシの道は迷路のようになっており、ふと先ほど見た毛布をまた見かけた。違和感がよぎり、その毛布をよく見ると、それは丸まった人の形をしており、手と足の形が毛布を通しても分かった。聖地バラナシには毎日たくさんの遺体が運び込まれ、燃やされ、川に流される。でもお金を持っていない人は十分に火葬されないまま流されたりすることもある、というのは聞いていた。然し、本当にお金が無い人は火葬すらも出来ず、せめてもバラナシに遺体を運ばれ、そこで放置されてしまうのだ。

 

サールナート

次の目的地はサールナート。教科書で見た歴史的な仏教遺跡を見ることができ、かなりテンションが上がった。ここにわざわざ来る観光客(インド人含め)は、上からの物言いになってしまうがある程度教養がある人が多いように見受けられ、殆どストレスなく観光できた。遺跡群の周りに色々仏教寺院等も有り、面白かった。バラナシからサールナートまでリキシャで向かったのだが、そのドライバーは最初から最後までとてもナイスガイな奴だった。が、最後の最後で、サールナート遺跡群の入口1,2km手前で止まり、「入口はもう少し先だよ。」と言い出したので、「いや、入り口まで行ってくれ。」というと「じゃあ追加で100ルピーくれ。」と言い出した。最後の最後にむかつかせてくれるのがインド人。結局50ルピーをチップであげるつもりで支払って、入り口まで連れてってもらった。

 

Banaras Hindu University(BHU)

後から知ったのだがこの大学は結構有名な大学で、日本人もこれまでに何人も留学しているところで、インドでバラナシに留学していましたというと大体ここ。略称はBHU。

そもそもここに来たのは、勘違いで、バラナシにあるとある有名なお寺に行きたかったのだが、どうもこの大学の構内に全く同名のお寺があるみたい。結局そのお寺もなかなか見どころが有ってよかったのだが、今度再訪の際に再チャレンジしようと思う。

寺院訪問中に、大雨が降って来た。Uberでどこかへ移動しようと思ったが、Uberもなかなかつかまらない。一先ず寺院から出て雨宿りをしていると、色々な人に話しかけられた。その中で、とあるBHUの学生が「俺は日本のことをたくさん知っているんだよ!」と話しかけてくれて、そのまま1時間近く話したであろうか。それでも雨は止まなかったが、彼も次の予定があるとか何とかで、去らねばならぬとのこと。チャイでも飲もうぜ、と誘ってもらい、木の下で雨宿りしながらチャイで一服。インド人の暖かさとホスピタリティを感じた瞬間であった。結局どう頑張ってもUberが捕まらず、傘も無い中大学構内を出て大通りに出ようと歩き始めたが、また徐々に雨が強くなり始めた。流しのシェアリキシャに乗りこみ、大通りへ。中々のローカルな場所で降ろされ、そこでUberを待っていたが、雨の影響で道がぬかるんだり一部通行止めになったりして、まあ道は大渋滞。もう一つくらい回ろうと思っていたが、フライトの時間に遅れるといけないので、空港に向かうことにした。思ったより早く着いてしまい、3時間ほど空港で暇になってしまったのだが、まあこれも一興。バラナシもいい旅でした。

BHU内にある寺院(Shri Kashi Viswanath Temple)

雨宿りしながらチャイで一服




 

備忘録

  1. インドすっげえ。ガンジス川のパワーすげえ。ただ、同時に毛布にくるまれて放置されていた死体を見て、やるせない気持ちにもなった。自分がどうすることも出来ない無力感。
  2. 信仰の対象であるガンジス川のパワーを感じた。と同時に、異文化を尊重する大切さも感じた。よく旅系Youtuberがここに冷やかしで来て、「世界一汚い」とかボロクソ言ってるのを見かけるが、ここで実際にそれを信仰している人を見るととてもじゃないが、自分にはそんな物言いは出来ないと思った。他人が信仰しているものや、もっと平易に、好きなものに対する意見表明の仕方は考える必要があると思う。
  3. でもやっぱ自分は沐浴無理だなと感じた(どっちやねん)。知人の女性で頭まで浸かった人がおり、本当に凄いなと思う。
  4. 現地で友人を作る事の大事さ。今回、初めてBHUの学生と友人になったが、今後の旅行でも、行く先々で友人を作り、信頼できる友人と一緒に行動したりその人におすすめを教えてもらうなどすると、(特にインドでは)楽しく旅行が出来ることが多いと実感。