カジューのインド徒然草

インド(ニューデリー在住)。旅行記を中心にインド生活を綴る。ヒンディー語も勉強中。20代中盤のインド大好き若手駐在員の徒然なる日常を書き記します。

第11回インド旅行記 デーラードゥン(Dehradun)

12月の中旬にデーラードゥンというウッタルカンド(Uttarkhand)州の町に染物工房体験に行くことになった。経緯は省略するが、数人の顔見知りと一緒に、同地で工房を開き染物事業を行っているとある日本人を訪ねて、我々も実際に染物を体験するというもの。インド在住の日本人には聞き馴染みのある、”トマトプロジェクト”の事業を展開されている方が主催となって行うツアーのようなものだ。後から聞くと、このトマトプロジェクトを展開されている方と、工房を開かれている方は高校の同級生とのこと。どんな教育を受けたら、同級生が違う道でインドに移住してそこで事業を展開するようになるのだろうか。是非高校に尋ねてみたいと思うくらいだ。

デーラードゥンという地名には馴染みが無いが、日本人の方でもリシュケシュという地名はもしかしたら聞いたことがあるかもしれない。ヨガの聖地として名高く、色々な知識人やアーティストも同地を訪れる。そんなリシュケシュに行こうと思うと、大体はデリーからフライトでデーラードゥンまで飛び、そこから車で向かう方が多い。デーラードゥンはデリーから北に位置しており、案内にも「寒いから服は厚着でお願いします」と書かれていた。

 

到着

顔見知りの方とは既にデリー空港で会釈くらいはすませていたのだが、デーラードゥン空港に着くとちらほらと日本人らしき人のお顔が見えた。

デーラードゥン空港

空港の出口を出た所で日本人の人だかりが出来ているので行って見ると、ここが集合場所らしい。一人ずつ自己紹介を済ませて、早速タクシーに乗り込むことに。参加者は10人ほど。男性は私一人だった。3人ずつくらいで別れてタクシーに乗り込むことに。私と彼女と、もう一人の参加者の方で乗り込んだ。車の中で他愛もない話をした。駐在妻としてインドに赴任されているとのこと。

タクシーに乗り込む。空気が澄んでいて気持ちが良い。

 

比較:同時期のデリーの大気。マスク必須。深呼吸不可。



助手席に乗っている私は、会話に参加しながら窓の外を眺める。窓から見える景色はこれまたデリーとは似ても似つかない、自然にあふれる落ち着いた町という印象。途中車が橋を渡るが、橋の下には灰色の岩や石が川の形を作っているが、水は一切流れていない。ドライバーに「これは何?川じゃないの?」と質問すると、「これは川だよ。但し、川に水が流れるのは雨季の時だけなんだ。」とのこと。それって川かな?とか思いながらも、確かにこの近くにはガンジス川の上流が流れており(リシュケシュのガンジス川は有名)、おそらくあちこちに支流が有るのだろう。その中の細いものは時期によっては直ぐに干上がってしまったりするのだろう、と思った。科学的根拠のない感想です。

 

工房に到着

山道を抜けると工房に到着。

工房はかなり山の中にあり、自然に囲まれている。

先ずはここで、工房のオーナーのMさんとご対面。冷えるでしょう、とのことで温かいお茶を皆さんにふるまってくれた。先ずは工房見学の前に、出来上がった作品を見学し、気に入ったものが有ったら買って言ってくださいと言うコーナーが始まった。日本的な色遣いのセンスと、インド的な服のフォルム、インドでしか取れない素材の美しさが融合してとても素敵な作品ばかりだった。何個かいいな、と思うものはあったのだが、なかなかお値段が張ったので、私と彼女は眼を合わせて、「どうしようかな」とか言いつつ買う気は正直な所一切なかったのであった。。。

 

工房にある作品。どれも個性的で美しい。

日本的なセンスとインドの素材の融合。

ここで働かれているインド人のスタッフのうち数人は日本語も堪能で、英語ヒンディー語日本語を操ることが出来ていた。「俺はこれにならなきゃいけないのに、もう自分の上位互換みたいな人が普通にいるやん」と思ってちょっと落ち込んだが、まあまだヒンディー語を勉強し始めたばかりなので、ここから巻き返していこう。とポジティブに考えることにした。

染料の原料などの展示。

 

工房見学

その後、実際に作品を作る工房を見学することが出来た。工房の中では、インド人スタッフたちがほぼ手作業とも言ってよいような原始的な機械を用いて、丁寧に糸を紡いでいた。

職人さんが丁寧に糸を紡ぐ。

非常に原始的に見えるが、まだ現役の機械とのこと。

ちょっと面白かったのは、そこで慎ましく作業をされていた若いインド人女性が全身アディダスでキメていたこと。プランテーションで働かされている子供はチョコレートを食べたことが無い、という話とはまたちょっと違う。カカオ豆のプランテーションで働かされている子供が朝極上のブラジルコーヒーを飲んでから優雅に出勤している、というか。違うか。例えが難しいけれども、なんか妙なおかしさを感じた。

 

その後、インドの有名な染料であるIndigo(藍)の染料を見学させてもらった。Indigoは気温や湿度によって大きく質が変わってくるとのことで、保管には最新の注意を払っているそう。締め切ったドアの中に、幾つかの壺やバケツがあり、その中にIndigoの染料が入っていた。確かにとても美しい色をしていた。

Indigo(藍)の染料。細心の注意を払って保管されている。

 

染物体験

今回のツアーの目玉である染物体験。首に巻くストールくらいの大きさの布を、黄色いマリーゴールドで染めて、ある程度自分の好きな柄にしたり、染め方を工夫することでグラデーションを表現したりするような体験だ。こういうので、私のプライオリティは「失敗したくない」なので、講師の方が教えてくれた通りの柄で、染料につけおく時間も確り時間で測った。中には自分のオリジナリティを出して柄を作ったりしている人もいた。

行程としては布をパタパタと折っていき、木の板で挟み、輪ゴムで締め、マリーゴールドの染料が入った壺に5分ほどつけ、温水(?)に再度5分ほどつけ、外干しする。というような流れ。染料につけている間、まだツアーの間にも話したこと無い奥様と2人っきりになってしまい、会話に困った。他愛がぜんぜんない話をしていると時間が過ぎた。干してみると、自分のやつは納得のいく出来だったのでまあ良し。

外干し中の皆さまの作品たち。

 

ランチ

お昼は、工房にあるキッチンでスタッフが作ってくれた。手作りの焼きたてチャパティ、ダールカレー、サブジー、ヨーグルト、グリーンサラダ、クスクス、などがふるまわれた。

この窯でチャパティを焼き上げる。

全てとても美味しく、心行くまで料理を堪能したのだが、中でもヨーグルトがとても美味しかった。もしかしたら、市販のヨーグルトではなく、自分たちで飼っている牛からつくっていたり、近くで手作りのヨーグルト工房とかがあったりするのだろうか。それ程においしかった。

ほぼ食べ放題のようにふるまわれたランチ。全て最高に美味しかった。

ランチの中で、皆様のこれ迄のbackgroundのお話になり、チリ駐在を経ていまインド駐在の夫に帯同している駐妻の方のお話に皆さん興味津々だった。私は「いい国行ってますね!」と心の中で思っていた。まさか自分の人生で行くはずがないと思っていた国に住むという経験は、本当にかけがえのないものだと思う。この駐妻のかたは、駐在生活を色々と楽しんでおられる様で、とても良いことだな、と思った。

 

その後自由時間になり、皆さんが作品を再度見ながら購入しているなか、私たちは工房の中を探検した。工房には2匹の飼い犬がおり、2匹とも人懐っこくてとてもかわいかった。その内の1匹は、1週間くらい脱走して、帰ってきたときにはボロボロになっていたらしい。

このワンちゃんが喧嘩をしてボロボロになっちゃったとのこと。現在はかなり元気を取り戻していて、安心。

工房の方が言っていたのは、工房は山に囲まれており色々な野生動物を見ることができる、とのこと。わんちゃんも、もしかしたら野生の動物たちと喧嘩して、ボロボロになって帰ってきたのかもしれない。

もう1匹のわんちゃん。とても人懐っこかった。

 

最後に

会がお開きになり、空港までタクシーで帰ることに。会の主催者である方の提案で、まだ時間が有るので空港近くのお店に寄ってから帰りましょうとのこと。

こちらのお店に寄ることに。

そのお店ではなぜかテンションが上がってRed Riceという赤い米(なんと、次回のケララ旅行で実際に調理後のRed Riceを食すことになるのだが)を購入。焚き方も分からないし調理法も分からないので、まだ家の棚の中で眠っている。後はガーリックソルトも買ってしまった。

またこのお店では、ガンガー(ガンジス川)ジャル(水)という、ガンジス川の水がボトル分けされたものも販売されていた。

ガンガージャル。買ってどうするのだろうか。。。

店の外にはウッタルカンド州のモニュメントが。夕焼けも相まって美しい。



備忘録
  1. 久しぶりに良い空気を胸いっぱいに吸って、生き返ったような気持ちになった。デーラードゥンのようなきれいな場所に来ると、デリーに戻りたくなくなってしまう。
  2. 駐妻の方と確りと話したのはこれが初めて。皆さま色々な思いで異国の地に住み、色々な経験をされているのだなと興味深かった。私個人的には、その駐在先で思いっきり今しかできない経験をされている駐妻の方は素晴らしいなと思う。

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