2023年の年末はインドで過ごすと決めていた。というか会社の規定でインドから出られないのだ。彼女は仕事で本当に疲れ切っていたので、年末年始くらいはすべて忘れてゆっくりできるような場所に行こうと思っていた。となるとやはり南インドだろう。これ迄色々旅行をしてきたが、どれもこれもインドの北部が中心であった。南インドは土地勘も無いしどこを回ればいいのかも分からない。分からないなりに、リゾートと言えばゴアかケララじゃないか?と考えていた。軽く調べてみると、ゴアの方がややクラブが有って、ケララよりもややテンション高めのイメージだったので、より落ち着いていそうなケララにした。
計画
計画段階では、彼女のリクエストとして「象に乗ってみたい」というのがあった。ケララを調べると確かに自然の中で象に乗るようなアクティビティがあり、私としても乗ってみたいと思ったので、調べてみる。象に乗ったり、自然を存分に楽しめるような場所はケララ州の中でもMunar(ムンナル)という場所にあるらしい。デリーからケララに行く際、到着の空港はコチ空港だ。ケララと言えばコチみたいなところもあるので、コチも行きたい。でもコチからムンナルまでは、GoogleMap曰く車で4時間。インドの道は往々にして渋滞する。渋滞して6時間7時間とかかかったら、一日移動でつぶれちゃうな。。。とかなんとか。コチから南に異動したところにアレッピーという場所も有り、ここはハウスボートというので有名。これも行きたいし。。。とか。色々考えた結果、以下のような日程になりました。
12/29 デリー⇒コチ
12/30 コチ観光
12/31~1/1 アレッピーのハウスボート
1/2 コチ⇒デリー
もうずっとコチにいるやん、という感じですが、実際行ってみたらこれで十分楽しめる。というか寧ろ、ゆっくりとすることを目的とした旅なのであれば、上記日程が一番いいのではないか?と思うくらい。他のムンナルとか色々な場所に行こうと思ったら、2週間くらいのお休みが欲しいなと思いました。移動に次ぐ移動という旅行が余り好きではないもので。。。
文量がかなり多くなってしまったので、コチとアレッピーを分けて記載しています。アレッピー編はこちら。
第13回インド旅行記 ケララ(Kerala) アレッピー編 - カジューのインド徒然草 (hatenablog.com)
到着
計画段階で、二人とも結構忙しかったことも有り、ホテルもギリギリで余り調べずに取った。Hotel Baywatchというホテルで、設備は素晴らしく、ビューも悪くない。
然しホテルに到着してマップで色々調べてみると、結構コチの中心部から遠いことが判明。また、そこまで宿泊者が多いわけでも無いのに我々の部屋はBayエリアの反対側で、窓から見える景色はホテルの前にある道路のみ。正直かなりがっかりした。取り敢えずはここに泊まるけど、いずれホテルを変更しよう、と判断。1/1の夜は新たにフォートコチ周辺のホテルを予約した。
到着して分かったのだが、コチには2つの大きなエリアが有り、1つがエルナクラム、もう1つがフォートコチ。イメージとして、エルナクラムは他の都市と変わらないような所謂都会的な都市で、フォートコチがビーチに近く歴史的建造物等も多く有るエリア。我々は滞在期間中ずっとフォートコチエリアにいた。最終日、フライト迄の時間を過ごすために一度エルナクラムにあるLulu Mallというどでかいモールに入った以外はエルナクラムを訪れることはなかった。エルナクラムの見どころは殆ど無く(Lulu Mallくらい)、ハブ的な駅があるのみなので、電車でコチからどこかへ移動する予定がある人以外は、エルナクラムに行く意味は殆ど無いと思う。
今回の旅行は3泊4日と、これまでの旅行記と比較すると日数が多めなので、備忘録的に全て記すというよりかは、訪れてよかった場所を中心に記載しようと思う。
1日目夕食 "Latest Recipe"
Hotel Baywatchというホテルに泊まっていたのだが、その周りには有名なレストランなどは無さそうで、ホテルに併設されているレストランもそれほど質の高いものでは無さそうだった。そこで、折角ケララまで来たのだから、南インドの料理を高品質で食べられるところに行こうと思い、ネットでコチ周辺の有名なレストランを調べた。すると車で20分程度のところにホテルに併設されているレストランで、非常に口コミ評価の高いところが有った。直ぐにUberを手配し向かった。ホテルの名前はMeridian Cohin Resortで、レストランの名前はLatest Recipeという名前。ホテルに到着すると、そこは周りにもマリオット系列などの高級ホテルが立ち並ぶエリアだった。コースが一人3000ルピー程度で頼めたので、そちらをオーダー。
レストランの外側には、ホテルの中庭があり、そこにはハンモックが。蚊が気になるけれども、すこしハンモックでゆっくりしてからホテルに戻った。
車で走っているときに窓の外から街並みを見ると、街中にはキリスト教会が多く見られる。普段住んでいるデリーではまずキリスト教の教会を見ないのだが、ヒンドゥー教寺院は殆ど見られず、車で走っていると5分に一回見るような感覚で立ち現れる。既にクリスマスは終わっていたのが、街中には巨大なサンタクロースのオブジェが何個かあって、これもケララならではだな、と思った。
宿泊していたホテルに戻って、就寝。
2日目。朝起きて、フォートコチ中心部の、小綺麗な店がたち並ぶPrincess Streetという通りに向かった。ここには、観光客が集まるおしゃれなカフェがたくさんある。まずはじめに、Teapot Caféというところに向かった。
Teapot Cafe
外観は緑に囲われてとてもおしゃれなイメージ。
朝早かったが、中には白人観光客が既に数人いた。おしゃべりをしながらチャイを飲む人、本を広げてゆっくりしている人、インド人と一緒に行動している人。色々な人がいた。
店内には色とりどりのティーポットが吊り下げられていて、窓から入る日光が暖かい。店主が一人で切り盛りしているようで、なかなか注文するまでには時間がかかるようだ。サーブは、明らかに店主より身分の低いであろう人が、こき使われるように働いている。店主は我々客にはとてもやさしく接してくれるが、従業員へのあたりは結構冷たい。それはさておき、バタートーストとチーズオムレツを頼んだ。待つこと5分程度、とてもシンプルなトーストとチーズオムレツが出てきた。味付けもシンプルで、とても美味しい。
このカフェの何が良いって、カフェの中に何匹もの子猫ちゃんがいるのだ。足の下にもぐってきたり、子猫同士でじゃれ合いを始めたり、日向ぼっこしてそのまま寝ちゃったり。などの可愛い猫の姿を見ることができるのがとても良かった。
結局コチに滞在している間は、毎日このTeapot caféに通った。我々のほかにもほぼ毎日通っているおじさんがおり、その人と店主との会話を盗み聞きすると、彼はオランダからの旅行客で、コチには1か月滞在するらしい。多分ワーケーションみたいな感じで、寒い欧州の冬から逃げ出して、コチの暖かい気候の中で仕事するのだろう。
St Francis CSI Church
カフェで一服した後、取り敢えずはコチの有名どころは回っておこうかと思い、St Francis CSI Churchという教会に向かった。
このあたりの観光地は全て半径1kmくらいの間に密集しているので、歩いていく事が出来る。このコチの滞在の期間中、何度もこの教会の前を通ることになった。建設は1503年で、大航海時代真っ只中のヨーロッパの文化を残す貴重な文化遺産でもある。バスコダガマはここケララで死んだ後、最初はこの教会に埋葬されたとのこと。コチは交通の要所でもあった為、様々な欧州の国がこの地を巡って争いも起こったが、今でも残る貴重なポルトガル式の教会となっている。
中に入ってみると、基本的には完全に欧州風の教会なのだが、天井からはパンカーと呼ばれるインドでよく見る扇風機が幾つもぶら下がっている。そしてクリスマス用のしょぼい飾り付けが。。。やっぱりちょっとインド的だな、と思った。
Santa Cruz Cathedral
これもビーチからそう遠くない所に、もう一つ有名な教会(大聖堂)がある。
こちらも歴史の古い大聖堂なのでシンプルな作りながらも、ヨーロッパ的な美的感覚を感じることができる。大聖堂自体は素晴らしいのだが、大聖堂の正面には、クリスマスの名残なのかNew Year Festivalの為なのか、ちゃっちい装飾が施されてしまっている。絶対にこれは無い方が良い。これほど歴史も有って単体で美しいものなのだから、インドクオリティの装飾で美しさを損なうようなことをするなよ。。。と思うのだが、現地の人はどう思っているのだろうか。
Chinese Fishing Net
St Francis教会のすぐ前には道を挟んでビーチが広がっている。ただ、ビーチに行く前に、ここコチの伝統的な漁のやり方を見学できる場所が有るので見てみた。
実際に魚がとれているのを見て、単なる遺産では無く漁の方法として現役なんだと驚いた。またこの周りには露店で(新鮮な?)魚を売っているのだが、元々魚介類が大の苦手な私にはかなり臭いがきつく、鼻を覆って歩かなければいけない程だった。
Fort Kochi Beach
Chinese Fishing Netを見学したあと、そのままビーチまで歩いた。ビーチの横の道はアイスやジュースの露店でにぎわっている。
すれ違う人がかなりこちらをじろじろ見てくるので結構不快な気分になった。コチほどの観光地だったら外国人という存在に慣れておけよと思ったのだが、よく考えたらそういう人はインドの奥からリゾートでコチに来たんだな、外国人も珍しいんだろうな、と思って心を落ち着かせた。
砂浜で座っていると、何匹かのわんちゃんがこちらへやってくる。わしゃわしゃと頭や首をなでると、他のわんちゃんも撫でてくれと言わんばかりにやってくる。結局4匹のわんちゃんに囲まれて、なんだかほっこりとした気持ちになった。丁度そこに、恐らく日本人であろう観光客も訪れており、女性の方がわんちゃんにお菓子をあげてしまったのだろうか、その後その女性はずっとわんちゃんに付きまとわれていた。
ビーチにいたとあるムスリムの家族の息子(3歳くらい?)は、全裸でビーチ中を走り回っておりとても微笑ましい光景だった。お母さんはヒジュラで身を隠しまくっているのに子供はこのビーチの中で一番身をさらけ出しているというギャップがなんだかおもしろかった。
砂浜×夕焼けのシチュエーションが大好きな私は、日が落ちるまで海を眺めていた。明らかに私たちを盗撮している女がいる。むかついて、文句を言いに行くが「何が悪い?」みたいなスタンスで話すのでまたさらに腹が立つ。インド全体として人権意識をもっと上げて行かないと、(我々のような外国人が不快に感じるとかどうとかでは無く)インドの発展を遅らせるような原因にもなってしまうので、インド国民一人一人がもっと気を付けて、国を挙げて教育していった方がいと思う。これは単なる外国人のたわごとで、日本がインドより上だとも思っていないし、”啓蒙活動”なんてちゃんちゃらおかしいと常に思っている私だが、インドにおける外国人の生きづらさ、多様性を謳いながら実は多様性とはかけ離れた国であること、などはインド人ももっと認識して対処すべき問題じゃないかなとは思う。
Loafers Corner Cafe
お昼には、またPrincess Streetに戻ってきた。この辺りはおしゃれなカフェが密集しているので、どこに入っても落ち着いた雰囲気を楽しめそうだ。Teapot Caféから50mくらいの場所に、Loafers Corner Caféというカフェがあったので入ってみることに。
階段を上がり店内に入ると、こちらもまた落ち着いた雰囲気のカフェだ。とても良い。窓からはPrincess Streetを見下ろすことができる。客引きのガイドが観光客に手当たり次第に声をかけているのを見るが、ことごとく失敗している。結局3日くらいの滞在で、彼らが成功しているのを見たことが無い。やり方を変えてみては?と思うのだが、まあこれで生活できているのだからいいのだろう。店内は基本的に写真撮影禁止。
このカフェの横には古本屋が有り、そこで購入した「インドの若者のMissionについて」という15年くらい前に出帆された本を読む。最近、インドで歴史や道徳がどうやって教えられているのかに興味があり、インドの本屋でそういった本を漁っている。本当はヒンディー語で読めればいいのだが、今の私には難しいので、英語の本で妥協している。いつかはヒンディー語の本もすらすらと読むことが出来るように、地道に努力をしていかないといけない、と思う。
Mattancherry Palace
Princess Streetから2km程度離れた所に、Jew Townというユダヤ人街がある。距離は結構あるのだが我々には時間が有るので、歩いて向かってみることにした。調べると、その途中にMattancherry Palaceというオランダ系の観光地が有ったので、そこに寄ってみることにした。行く道中、かなりローカルな道を通ることになった。
高校生くらいの若者集団に後ろを付けられてからかわれた。インドではよくあるのだが、まあ面倒くさい。高校生にもなって何をやっているんだと思う。5歳とか6歳とかの何も知らない子供なら分かるのだが。。。また、前から母親と娘2人の家族が歩いてきて、明らかに我々を動画や写真で撮っている。「おい、写真撮ってるだろ。消せ!」と言うと母親が「娘があなたたちのことを好きなんだ」と意味わからんことを言ってきたので「いや、消せ」と言うと「Why?」と返答される。親がこれではそりゃあ子供も外国人をみたら指をさして笑うような子供になるよな、とあきれた。「お前らがやっていることは、我々の権利の侵害なので消しなさい。」と言うと「わかったよ」とかなんとか言っていたが、100%わかってないし、ちゃんとは消してない。それでも、ちゃんと自分の不満を伝えられるだけで、自分の心のもやもやは無くなるのでまあ良し。とかやっているうちにMattancherry Palaceに到着。
中にはコチのこれ迄の歴史なども学べる資料館があった。
Jew Town
MattancherryからJew Townまではそれ程距離は無いのだが、暑くて喉が渇いてしまったので道すがらにとあるカフェに入る。アーティスティックなコンセプトのカフェだ。コチでは、ふらっと入ったカフェがどれも素敵だったので、それも旅の楽しみだった。
とあるインド人家族が、支払いの際に、この料理はサーブされていないとかなんとかで揉めていた。子供の前でそんな大声を出さなくても、、と思ったが、確りここはインドだなという雰囲気を感じることも出来た。家族の間ではヒンディー語で話していたので北インドの家族だろう。
ユダヤ人街に到着すると、お土産店が立ち並ぶ。
奥にはシナゴーグがあったのだが、最初訪問した時は閉まっていた。
夕方早いうちに閉まってしまうらしい。1/2の最終日に再訪したところ開いていたので中に入ってみた。
このようなしっかりとしたユダヤ人街があるのにも拘わらず、街中にはパレスチナを応援するような落書きが何個か見られた。
このインドという国の、コチという街では特にイスラエル-パレスチナ戦争へのかかわり方が難しいのだろう。全体としてヒンドゥー教国家である為パレスチナに反対する人がいる。ユダヤ人街もあるので親イスラエルの人も多い。キリスト教徒が多く、西欧的な価値観に染まっている人も多い。たまにUberに乗っていると「お前はどっち派だ?」と聞かれることもある。私はどちら派でもないと答えているが、はっきりとした答えを自分の中で持っておく必要もあるかもな、とも思う。
アーユルヴェーダ
実はケララはアーユルヴェーダの発祥の地。私の同僚も以前ケララに行った際にはアーユルヴェーダを受けたと言っていたので、今回の旅行でも一度は受けようと思い、GoogleMapで評価の高い店に行ってみた。オイルマッサージからシロダーラまで色々なオプションが有ったが、我々はオイルマッサージ(全身)プランを選択。オイルまみれになりながら体をほぐしてもらった。
Lulu Mall
時は進み最終日。次回投稿するアレッピーのハウスボートの旅を終えてコチに戻り、一日ゆっくりと過ごす。ただ、初日に空港からフォートコチに向かう道すがら、とても大きなモールを見たのが印象的だった。調べてみると、コチの観光地の一つに数えられるくらいとても大きなモールとのこと。帰り道の渋滞も読めないので、このモールは空港に近いエルナクラム地域に有ることもあり、早めにフォートコチを出て、Lulu Mallで時間をつぶすかという結論に。
入ってみると、確かに大きい。コチにもこれほど大きいモールが有るのかと驚いた。まずは取敢えずスターバックスに向かった。
フライトは夜だったので、腹ごしらえに、と思ってモールの中にあるケララ料理が食べられるレストランに向かった。モールがかなり広かったので迷子になりかけたが、人に聞きながらなんとかレストランを見つけた。このケララで、バナナチップスは食べておきたいという目標が有ったので、ダメもとでレストランの人に聞いてみると「OK」とのこと。注文してワクワクと待っていると、出てきたのはバナナ一本を揚げたもの。まあ、まずくはなかったが期待とはかなり違った。
今回頼んだのは、一切水分の無いカリカリ系のチキンカレー。と、ケララパランタ。1日目のレストランで出会って、美味しすぎて虜になっていた。
その他、印象に残ったカフェなど
このほかにも、アレッピーからコチに戻ってきたときに取り直したホテルの近くにはオランダ人墓地もあった。これも有名な観光地だが、中には入れない。
デリーへ戻る
モールから空港に向かう車の中で、航空会社から連絡が。1時間遅延しますとのこと。まあ1時間くらいならいいかと思いまっていると、追って更に1時間遅れますとの連絡が。怪しいなと思っていると、元々18:30搭乗開始のフライトだったものが、深夜1:40搭乗開始へと変更された。これは流石に待っていられないと思い、フライトをキャンセルし、確りとrefundを貰い、新たにAir Indiaのフライトを予約。このフライトは時間通り来てくれたので、乗り込んでデリーへ。デリーに到着すると、その寒さと空気の汚れ具合に辟易としたが、我々は今現在この環境で頑張るしかない。心機一転、2024年も頑張ろうと心に誓った。
備忘録
- インドの冬の過ごし方の正解は、南に逃げること。暖かく空気も綺麗で、時間を忘れてゆっくりすることができる。来年はゴアかポンディシェリあたりに行こうと思っている。また、ケララのコチ以外の場所も心行くまで楽しむのであれば、最低でも1週間くらいの休みは欲しいところ。でないと、旅のほとんどが移動と、観光地をササっと見て帰るだけの旅になってしまう。
- 初めて南インドを訪れたが、街にキリスト教の教会が多くあったり、街で英語の通じる確率が非常に高かったりと、北インドとは全く違う面を見ることが出来た。また感動したのは、ケララで出会ったUberのドライバーは須らく皆良い人だった。街で出会う現地の方もとてもいい人ばかりで、自分の暮らしている範囲だけで”インド”を語る危険性を感じたし、インドを理解するうえで実際に色々な場所に足を運んでみることの重要性も再認識した。