カジューのインド徒然草

インド(ニューデリー在住)。旅行記を中心にインド生活を綴る。ヒンディー語も勉強中。20代中盤のインド大好き若手駐在員の徒然なる日常を書き記します。

家探し

家探しの苦労。何から始めればいいの?

インド到着後、一番苦労したのは家探しだ。自分の中でインド=ぼったくりの国というステレオタイプが有ったし、そもそも日本で物件を探すのすら難しいのに土地勘のないインドで今後生活する家を探すなんて無理だし、ガス水道電気などのインフラが脆弱であると言われているインドで、どれくらいのインフラ整備水準が普通なのかも分からないし、確かめるすべも分からない。そもそも不動産業者をどうすればいいのかも分からないし、会社のルールは一応有るからそれに沿わせる必要も有るし、そもそもインドルピーの手持ちが少ないし。何から始めればいいのか分からない状況だった。

 

意外とするする決まっていく

ここでもアクシェイが、自分の友人の中で不動産業者を紹介してくれる人に連絡してくれて、いくつかの仲介業者を紹介してくれた。私は彼らに自分の希望を伝え、色々提示してもらったうちの10軒くらいを内見した。アクシェイは5日しかインドに居られなかったので、内見からは全て自分一人で行う事となった。10軒くらい内見したうち、Panchsheel Enclaveという場所にあるとあるマンションがとても魅力的だった。インドは一軒家タイプの物件も多いなか、ここは日本のマンションのような作りになっておりエレベーター付き、部屋数も十分で学校にも近く、なんとインドには珍しくバスタブもついていた。大家さんの人当たりも良く、もう数日内見した後にここに決めた。8/6のことだった。丁度アクシェイがシンガポールに無事到着した連絡を受け、最大限の感謝を電話で伝えた。

 

「ここに決めます」と大家に告げると、大家は急にいろいろな条件を言ってきた。「前金として3か月分の家賃を直ぐに支払いなさい。また、大家の財布事情的に、先に1年間分の家賃を前払いで払いなさい。」私は「は?」となった。聞いてないし、そもそも手持ちのインドルピーなんて殆ど無いのだから、1年分の家賃なんて今払えるわけもない。でも、その時は会社の規定上インド到着後1週間以内に家を決めなきゃいけないという厳格なルールがあったのもあり、インドの住居契約事情がどんなものかも分からないから、何が盛会かも分からない。でも、内見した他の家よりはこの家は格段によかったので、何とか住みたい。私は、「わかった。でもすぐには無理。1/3をXX日までに、1/3を▲▲日までに、1/3を〇〇日までに支払う。」と約束した。今となってはこんな目に見える地雷物件は避けて直ぐに他に行くべきだったのだが。。。

 

そして前金の家賃3か月分は、会社の知り合いの方にお願いして手配してもらった。本当に有難い。大家は前金の着金確認後、私に「契約書へのサイン完了次第、あなたが正式な居住人となる。ただ、この家はつい最近まで人が住んでおり、まだ諸々の書類手続きを完了させるまでは正式署名が出来ない。8/12日に正式署名しよう。8/12の朝にこの住所に来てくれ。」まあそんなことも有るのだろうと思った。大家は「でも、鍵は渡しておくので8/12迄の1週間の間、好きに出入りしていい。洗濯機や冷蔵庫、ベッドなどの家具も運び込んでセットアップを完了させちゃっていいよ。」と言った。私は近くのモール等で洗濯機と冷蔵庫を購入した。また、ベッドもオンラインで購入手続きを進めていた。そして8/12までの日、ヒンディー語の学習を進めると共に、デリー中のあちこちを回った。サウスデリーと呼ばれる落ち着いたエリアから、オールドデリーと言われる喧騒の地域まで。そして8/11の夜10時ごろ、事件は起こった。

 

風向き変わってきた

大家から一本の電話がかかってきた。「すまん、会計士や法務に確認したところ、やっぱりお前が外国人だからここに住まわせちゃだめだって。悪いけど出て行ってくれ。」怒りで体が震える経験をしたのは人生で初めてだった。大家に撤回させるべく電話越しに説得したが状況は変わらず。怒りで震えながら、明日の午後に会って今後の方針を話すこととした。何をすればいいかも分からなくなり、先ずは近くにあるSelect Citywalk Mallという大型モールに向かった。ここで購入した家電製品を返品できるか確認する為である。結論としては無理だった。まだ未使用ではあったが既に箱を開封しているため。店員さんの一人が熱心に転売先を探すと約束してくれたので、少しだけ心が楽になった。ちなみにベッドに関しては、幸か不幸かオンライン上の支払いがうまく行かず購入に至っていなかった。この時に家族の大切さも改めて感じた。初めて自分から、これと言った用もないのに、泣き言をいう為だけに母親に電話した。

 

議論と落としどころ

次の日、大家は一応申し訳なさそうな顔で私を出迎えた。結局色々話したが私がこの家を直ぐに出る必要があるのは変わらなかったので、今後の動きについて議論した。夜中まで議論した結果、概して以下3つの合意を結んだ。

  1. 前金の3か月分は直ちに返還する。(実際に即日返還された。)
  2. 次の家を見つけるまでの1週間の間、私が宿泊するホテルの代金を支払う。
  3. 既に買ってしまった家具については大家が買い取る。(お金は現金で支払う。)
  4. 私が日本から持ち込んだ荷物は、この部屋に鍵をかけて保管しておく。

この合意に至るまでも、議論はあっちこっちに及び、最終的に大家からは私の人格を否定され、私の話すことを敢えて無視する等の、まあ胸糞の悪い経験をした。私の怒りは不動産業者にも及んだ。次の日の朝に、この物件を紹介した不動産業者と改めて内見をスタートすることとなったが、朝、その業者に会うや否や「紹介するものとして、お前がしっかり管理しておかなきゃいけなかったんじゃないの?」とブチギレた。不動産業者としばし言い合いになったが、もう新しい家を探さないと始まらないので、その日からまた鬼の内見が始まった。

 

最終的に。。。

そして、私がいま居住している南デリーのとある地域に、良さげな物件を見つけた。学校までの距離は元々の家から倍くらい離れてしまうが、設備や周りの環境が良かったことも有り即決。ここでも前金が必要になるのだが、そこまでのルピーを私は保有していないので、アクシェイの友達であるサンディープ(アクシェイ来印時に挨拶済み)に泣きつき、立替してもらった。色々な苦労が有ったが、何とか家を決めることができ、心の底から安堵した。前回のことが有るので、契約の最終局面まで何も信じられなかったが、今の大家さんは本当に良い方で、とてもお世話になっている。自分の人生で、今後もここまで苦労し、怒りに打ち震える経験は無いのではないのだろうかと思う程であった。

 

ちなみに、前の家を出てから3日程度で新居の契約にこぎつけ、4日後には保管していた荷物を運び出した。その時には驚くことにもうとあるインド人カップルが居住を開始しており、まあむかついた。

制度としての人種差別について、身をもって体感した貴重な経験であり、今後自分が日本含む世界のどこで”外国人”と関わるうえでも非常に大切なことを学ぶことが出来たと(今は)感じている。

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