これは12月初旬のこと、今から数か月前の話ですが、私がインドに来てから1,2を争う大事件が起きました。タイトルに【緊急】とか書いちゃいましたが、もう無事に脱出し終えております。。。今となっては笑い話ですが、当時は本当に焦ったので備忘も兼ねてブログにしようと思います。
いつもの朝。というよりは初ゴルフで緊張の朝。
ある土曜日の朝早く、彼女は他社の駐在員とゴルフに行くために早起きして準備して居ました。朝早くにお迎えの車が来る予定になっており、しかもこの日は初めてのゴルフということで緊張もしていたし、絶対に遅れられないというぷレッシャーも有ったと思います。まだ朝の7時前だったでしょうか、日本からとりよせたおしゃれなゴルフウェアに身を包み、前任者から引き継いだゴルフバックを片手に出かける彼女を、寝ぼけまなこをこすりながらいつものように見送りました。いつものように「いってらっしゃい」といい、エレベーターの扉が閉まるまで見送ったところでドアを閉め、鍵を閉め、まだ朝早かったのでもうひと眠りしようとベッドに戻りました。
大事件
すると、「キャーーーー!」という大きな声が聞こえてきました。と共に、私の携帯に彼女から着信が入っています。電話に出ると「やばい、エレベーターに閉じ込められた」と言っています。頭では理解が追い付きませんでした。部屋から出て名前を叫ぶと、「はーい」と返事があります。よかった、こちらの声は聞こえている。エレベーターの階数表示のところは、我々の居住フロアの表示のまま点滅している。
彼女がとっさに大声で「ヘルプミ―!!」と叫んだので、マンションのガードや、下の階に住むお母さまが部屋から出てきてくれていた。ガードはヒンディー語しか話せないので、私は拙いヒンディー語で、彼女がエレベーターに閉じ込められていることを説明。私は少しパニックになりながらも、ガードが「テクニシャン(技術者)を呼ぶ」と言っていることだけは何とか理解出来た。
後から彼女に聞いたのだが、いつものようにエレベーターのドアがチーンという音と共に開くと、外のドアが閉まったままで、以下の写真のような状況になっていたらしい。
つのる不安
幸運なことに、エレベーターに閉じ込められていても、彼女の携帯の電波は繋がっていた。「ゴルフは遅れることを連絡しておいた方が良いと思う」という話をして、自分がパニックになりながらも、彼女をパニックにさせてはいけないと「落ち着いて」とかばっかり話しかけていた。こういう時は女性の方が胆力があるのでしょうか、個人差なのでしょうか、意外と彼女の方が落ち着いていました。
私の部屋は日本で言うところの3階にあるので、これもしエレベーターが故障してそのまま自由落下したらどうなっちゃうの?とか、エレベーターは密室だしあまり話し過ぎて酸素を使い過ぎたら酸欠になっちゃうんじゃないか?とか心配ごとばかりが頭によぎる。
そんなことを考えておろおろしていると、「キャッ!」という声が聞こえた。エレベーター内部が停電したのである。不安はさらに大きくなる。絶対中にいる彼女の方が私よりも心配で不安なはずなのに、私も不安で不安でたまらなくなる。エレベーターの仕組みは分からないが、これ停電しちゃったらそのまま落っこちたりしないの?という不安。
そういえば、私も小さいころ、まだ幼稚園だったころだろうか、小学生低学年だっただろうか、地元の市民病院で入院していた時、ひとりでエレベーターに乗って売店に向かおうとしている時、エレベーターが停電した経験がある。今となっては現実の記憶なのか、夢なのか、複数の記憶が重なって自分の中で作り上げた偽の記憶なのかは最早定かではないが、この一件以来小学校高学年まで、暗闇恐怖症になった事を覚えている。寝るときも部屋を真っ暗には出来なかった。そんな忘れかけていた記憶を呼び起こした。
前に進みそうで進まない
ガードが、エレベーターのドアを開ける鍵を持ってきた。ガードがああしたりこうしたり、いくらやっても開かないので、「お前やってみろ」と鍵を渡される。「いやお前が出来ないのに俺に出来るわけないだろ」と思いながらやってみると、するっと簡単に開いた。いや、今まで何やっていたんだよと思いつつも、ドアを開けてみるとそこにエレベーターの姿はない。多分、変な所で止まっちゃっているのだろう。
そんなこんなしていると、ガードが呼んだテクニシャン(技術者)であろう人が到着した。これまでも色々なトラブルで技術者を呼んでもらったことはあるが、初めて見る人だった。到着するとその人は階段で一番上のフロアまで登って行った。もう今何が起こっているのかは私には分からない。根拠のない大丈夫だよ、という言葉を彼女にかけることしか出来なかった。そして、エレベーターのドアを開けたまま、ガードが電話を片手に色々話している。話してる相手は、テクニシャンのようだ。テクニシャンに対して指示を出しているみたい。多分今やっていることは、テクニシャンが手動なのか予備電源を使うのかしてエレベーターを動かし、無事に下におろすということなのだろう。でもなんかうまく行っていないようだ。
ガードに上に行け、と言われたので良く分からず一番上まで駆け上がると、家の屋上にたどり着いた。こんな場所があったのか、と驚いたのだが、屋上にはエレベーターなどを管理しているのであろう電気系統のスイッチやらなにやらがたくさんある部屋があった。そこに先ほどきたテクニシャンのおっちゃんがいた。上に行けと言われたので何か頼まれるのかと思ったのだが、上に来ても特に何もなかった。降りてていいぞと言われたので、また下に戻った。
救出
特に何も起こらない時間が続いていたが、急にエレベーターが動き出した!しかしエレベーターは上に行ってしまった。ガードが電話口で「ニーチェ―!ニーチェ―!(下だ、下だ!)」と叫ぶ。でもまたエレベーターは上に行く。と思ったら急にエレベーターは下に動き出す。もう今エレベーターがどこにいるのか分からない。中に居る彼女はさぞ怖かったことだろう。「ニーチェ―、ニーチェ―。」ガードが電話口で指示を出す。ゆっくりとエレベーターが下がってきて、開けているドアのところに彼女が入っているエレベーターのボックスが見えてきた。しかしまた止まってしまう。それでも、エレベーターのボックスが見えてきただけで、かなり安心出来た。なんとかあとちょっとで救出できそうだ。
その後もまた何故か上にいってしまったり、こんどは下げ過ぎてしまったりとトライ&エラー(??)を経て、エレベーターのボックスがドアの場所にぴったりとはまった時、チーンという音と共に、エレベーターのドアが開いた。閉じ込められてから1時間弱立っていたであろうか、ようやく彼女がエレベーターから脱出することが出来た。
というか、エレベーターのドアが開く仕組みって、丁度ぴったりの位置にボックスが停止すれば開くようになっているのか、と驚いた。そんな仕組みになっていたとは。
その後
泣きそうになりながら、助かって良かったね、と言い合い、彼女はゴルフに出かけて行った。幸運にも車の到着が遅れたりだとかなんとかで、それほど遅刻を気にしなくていい状況になっていた。私は自分が閉じ込められていたわけでも無いのに、足ががくがくふるえていた。その後彼女は普通にゴルフを楽しめたとのことで、一件落着。でもそれ以降、家のエレベーターを使うのがちょっと怖くなった。
そういえば、去年の4月に南アフリカに出張していた時、私たちと夜ご飯を食べる予定だった日本人駐在員の奥様が停電のせいでエレベーターに閉じ込められてしまい、夜ご飯に参加できなくなったということがあった。まさか同じような経験をするとは。。。
どうあがいたって気を付けようが無い事象ではあるが、もう2度と経験したくないことだし、もし自分が閉じ込められたら、彼女よりもパニックになってしまうだろう、とも思う。
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